2023年は日本の不動産市場にマネーを呼び込む好機? ~不動産投資家 心理調査
2023.04.24
4月14日、不動産サービス大手ジョーンズラングラサール(JLL/本社:米国)が、「不動産投資家 心理調査2023(2022年12月末時点)」(以下、本調査)を公表しました。
本調査は、不動産やプライベートエクイティの投資会社などのグローバル投資家、ならびに各地域の投資家のトップリーダーを対象に、不動産に関する2023年の投資意欲、投資戦略、市場展望についてアンケート調査を実施し、その結果をまとめたものです。世界の投資家が今、2023年の不動産投資に関してどのように考えているのか見てみたいと思います。
まず2022年における世界の不動産投資額は、前年比▲19%減の1兆290億ドル(約168兆円/1ドル130円換算)でした。欧米の中央銀行を中心に金融引き締めを行った影響で、欧米のファンドなどの投資が鈍ったのが減少の主要因です。とりわけ、2022年第4四半期(10月-12月)の投資額は世界全体で対前年同期比▲58%と大きく下落しています。
では、これを踏まえて世界の投資家が2023年の不動産投資に対してどのような見通しを持っているかですが、2023年は約60%の投資家が2022年よりも投資は減少すると予測しています。減少幅としては対前年比で▲11~▲20%の減少を見込む投資家が最も多くなっています。2022年に続き2023年も厳しい環境が続くものと予測する投資家が多い結果となっています。投資額の減少を予測する背景としては、不動産価格そのものの不透明感と金利の不透明感が挙げられ、欧米の中央銀行による利下げが行われない限り、不動産投資は上向かないとする回答が90%近くに達しています。
このように厳しい不動産投資環境ではありますが、2023年に対前年比で投資増額を検討している市場として、日本が首位に挙げられています。その理由としましては、一時期の円安からは円高方向に進んだものの依然として円安水準であり、かつ低金利の日本は世界の投資家にとって魅力的な投資先と映っているようです。欧米の中央銀行が利下げに転じるまでの期間は、日本の不動産市場にとっては世界のマネーを呼び込む好機となるかもしれません。